食べ過ぎで胃が痛くなったり、もたれたりしたことがある人は少なくないと思います。そんな時に役立つのが胃薬です。市販の胃薬にはさまざまな種類があり、どれを選べばいいのか迷う人も多いのではないでしょうか。
今回は、食べ過ぎの時に効く胃薬について、選び方や注意点などを解説します。
食べ過ぎの症状
食べ過ぎで起こりやすい胃の症状は、以下のとおりです。
- 胃痛
胃酸分泌の亢進と胃粘膜防御機能低下により、胃粘膜が傷つくことで起こる。
- 胸やけ 吐き気
胃から食道に胃酸が逆流することで生じ、みぞおちの上の辺りがヒリヒリと焼けるような症状がでる。また、食べ過ぎにより胃酸が過剰に出過ぎて吐き気の症状がでる。
- 胃もたれ
食べたものが十二指腸に排出されず胃の中にたまっているため、胃が重く感じる症状が出る。
これらの症状は、胃酸の分泌過多や、胃の粘膜の炎症、胃の運動機能の低下などが原因で起こります。
胃薬の有効成分
市販の胃薬には、さまざまな成分が含まれていますが、代表的なものをいくつかご紹介します。
- 制酸剤
- 胃酸分泌抑制剤
- 消化酵素剤
- 健胃薬
- 胃粘膜保護・修復成分
- 抗コリン成分
制酸剤
制酸剤は、胃酸を中和して、胃の不快感を和らげる成分です。主な成分は、炭酸水素ナトリウム(重曹)や酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ヒドロタルサイトです。
制酸剤は、胃痛や胸やけなどの症状に効果的です。しかし、胃酸を過剰に中和すると、胃酸の分泌をさらに促すことがあるため、注意が必要です。
胃酸分泌抑制剤
胃酸分泌抑制剤は、胃酸の分泌を抑える成分です。主な成分は、H2ブロッカー(ファモチジン、ニザチジン)やPPI(プロトンポンプ阻害薬)です。
胃酸分泌抑制剤は、胃痛や胸やけ、胃もたれなどの症状に効果的です。また、胃酸の分泌を抑えることで、胃の粘膜を保護する効果もあります。
消化酵素剤
消化酵素剤は、食べ物の消化を助ける成分です。炭水化物、タンパク質、脂質等の分解に働く消化酵素を補うことにより、消化を助けます。主な成分は、ジアスターゼやリパーゼ、プロザイムなどです。
炭水化物分解酵素:ビオジアスターゼ、タカジアスターゼ
タンパク質分解酵素:プロザイム、ビオジアスターゼ
脂肪分解酵素:リパーゼ
消化機能改善成分:ウルソデオキシコール酸(利胆作用による脂肪分解促進作用、肝機能改善作用があります。)
消化酵素剤は、食べ過ぎで胃がもたれている場合に効果的です。また、消化不良の改善にも役立ちます。
健胃薬
味覚や臭覚を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促すことにより、弱った胃の働きを高めます。主な成分はオウバク、オウレン、ケイヒ、ショウキョウなどです。(注意:味覚、臭覚を刺激させたいのでオブラートで包まない)
苦味健胃薬:オウバク、オウレン、センブリ、リュウタン
芳香性健胃薬:ケイヒ、コウボク、ショウキョウ、チンピ
胃粘膜保護・修復成分
胃粘液の分泌を促し、胃粘膜を覆い胃酸から保護します。主な成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム、スクラルファート、テプレノンなどです。
抗コリン成分
アセチルコリンの分泌を抑え、内臓平滑筋の痙攣、胃酸分泌を抑えます。主な成分はブチルスコポラミン臭化物、ロートエキス、ピレンゼピン塩酸塩です。
鎮痛鎮痙成分:ブチルスコポラミン臭化物、ロートエキス
胃酸分泌抑制成分:ロートエキス、ピレンゼピン塩酸塩
胃薬の注意点
アルミニウムを含む成分にていては、透析治療を受けている人が長期間服用した場合アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を引き起こしたとの報告があり、透析治療を受けている人では使用を避ける必要があります。また、受けていない人でも、長期連用は避ける必要があります。
腎臓病の診断を受けた人では、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の無機塩類の排泄が遅れたり、体内に貯留しやすくなるため、医師・薬剤師に相談してください。
カルシウム・アルミニウムを含む成分については止瀉薬に配合される成分であり、便秘等の症状に注意することも重要です。
マグネシウムを含む成分については瀉下薬に含まれる成分であり、下痢等の症状に注意することも重要です。
制酸成分は他の医薬品(かぜ薬、解熱鎮痛薬など)でも配合されていることが多く、併用によって制酸作用が強くなりすぎる可能性があります。
抗コリン成分(ブチルスコポラミン臭化物・ピレンゼピン塩酸塩)は服用後の乗物又は機械の運転操作はしてはいけないことになっています。排尿困難、緑内障の人は医師・薬剤師に相談してください。
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食べ過ぎの胃薬の選び方
食べ過ぎの胃薬を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 症状に合わせて選び、成分を確認する
食べ過ぎで起こる症状は、人によって異なります。そのため、自分の症状に合わせて、適切な胃薬を選ぶことが大切です。また、胃薬には、さまざまな成分が含まれています。そのため、成分を確認して、自分に合った薬を選びましょう。
様々な症状がまんべんなく出ている→総合胃腸薬
胃もたれ、胃部膨満感→消化酵素・健胃生薬
胸やけ、吐き気→H2ブロッカー・制酸成分
胃痛→H2ブロッカー・制酸成分
- 用法・用量を守る
胃薬は、用法・用量を守って服用することが大切です。用法・用量を守らないと、効果が得られなかったり、副作用が起こったりすることがあります。
- 症状が続く場合は、医療機関を受診する
症状が続く場合は、医療機関を受診して、適切な治療を受けましょう。
食べ過ぎの予防
食べ過ぎを予防するためには、以下の点に注意しましょう。
- 食べ過ぎない
食べ過ぎは、胃に大きな負担をかけます。そのため、食べ過ぎないように注意しましょう。腹八分目程度で箸を置くように意識しましょう。
- ゆっくりと食べる
早食いは満腹感を感じにくく、食べ過ぎにつながります。一口30回以上を目安に、ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。
- 食物繊維を積極的に摂る
食物繊維は満腹感を与え、食べ過ぎを防ぐ効果があります。野菜や海藻、きのこなどの食材を積極的に摂るようにしましょう。
- タンパク質をしっかり摂る
タンパク質は、筋肉や臓器の材料となる栄養素です。タンパク質をしっかり摂ることで、満腹感が持続し、食べ過ぎを防ぐ効果があります。
- 食事を規則正しくする
毎日決まった時間に食事をすることで、体内リズムが整い、食欲をコントロールしやすくなります。
- ストレスを溜めない
ストレスは暴飲暴食の原因の一つです。適度な運動や趣味など、ストレス解消法を見つけましょう。
- アルコールの摂取量を控える
アルコールは胃粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。特に、度数の高いお酒や空腹時に飲むと、刺激が強くなり、胃痛や吐き気などの症状が現れやすくなります。
参考資料 食べ過ぎを抑える11の方法|ハーパーズ バザー(Harper’s BAZAAR)公式
おすすめの胃薬
ガスター10 第1類医薬品 (胃痛・胸やけ)
過剰に分泌した胃酸をコントロールして、胃痛、もたれ、胸やけ、むかつきにすぐれた効果を発揮します。胃酸の分泌をコントロールすることで、傷ついた胃にやさしい環境を作ります。
太田胃散 第2類医薬品 第2類医薬品 (胸やけ・胃もたれ)
効果的に配合された7種の健胃生薬が弱った胃を元気にし、飲みすぎ、食べすぎ、胃のもたれなどの不快な症状を改善します。
セルベール 第2類医薬品 (胸やけ・胃もたれ)
胃酸などの刺激から胃の粘膜を守る「胃粘液」を増やし、さらに胃の運動を活発にして弱った胃の状態を整えます。
パンシロンキュアSP 第2類医薬品 (胃痛・胸やけ)
胃酸の分泌を抑制して、出過ぎた胃酸を中和し、荒れた胃粘膜を修復・保護します。さらに、弱った胃の働きを高める健胃生薬チンピ末も配合しました。
大正漢方胃腸薬 第2類医薬品 (胃もたれ・胸やけ)
胃腸機能を促進する「安中散」と、胃の緊張をほぐし痛みを和らげる「芍薬甘草湯」のエキスを加えた独自処方により、幅広い症状で効果を発揮します。
ベリチーム酵素 第3類医薬品 (胃もたれ)
4種の天然由来消化酵素が、デンプン、タンパク質、脂肪、繊維素を分解。
まとめ
飲み過ぎや食べ過ぎは、誰でも起こり得る症状です。そのため、適切な胃薬を飲んで、早めに症状を改善しましょう。また、症状が続く場合は、医療機関を受診して、適切な治療を受けましょう。